レギュレーション
   ― 己を律するもの ―

 レギュレーションを辞書で調べると「規制。規則。」の意。

 モータースポーツの世界などではエンジン、シャシーなどにある一定の規制を設けて参加メーカーの開発費の抑制を狙ったり、ドライバー同士の技術が争えるように設けられています。


 例えばエンジンに絞ってお話を進めてみましょう。


 曰く、15年前のJTCCのレギュレーション。

 エンジンは2,000cc以下の自然吸気で最高回転数を8,500rpm以下。そうなると各社自ずと馬力は290psあたりに落ち着くとか。


 曰く、今年のF-1のレギュレーション。

 エンジン形式はV8、排気量を2,400ccに制限、バンク角は90度、最低重量95kg、最低重心高165mm。 エンジンの回転数は最大18,000rpmに制限されていて、そうなると各社自ずと馬力は700psあたりになりますか。


 翻って私たちがチューニングしていくエンジン。まぁ、ソレタコデュアルの私はほとんどしていないも同じなのですが、最近の雑誌などを見る限り、L型エンジンも、4G63も、RB26もすごいことになってますな。

 特にL型エンジン。基本設計が40年も前のエンジンなのに、それを現在の技術、基準に則った寸法出し。セラミック溶射等の特殊加工の数々。


 そこまで行き着いた人たちの熱意と時間、経験、そして一生懸命に稼いで注ぎ込まれたであろう金額は相当なものと思われます。


 そう、私たちのエンジンには道路交通法以外にレギュレーションはありません。


 ブローを繰り返し、その度に泣き、また新たに組みなおし、果てしない経験と金額を積んで、更なる高みを目指す。

 それもひとつのレギュレーション。


 エンジンは雑誌で聞きかじったところまで、中古のエンジンの蓋を開けて、250ps出れば十分だ。

 それもひとつのレギュレーション。


 自分が決めるレギュレーション。


 どうしたいかは、自分が何を目的として自分の愛車と接するかを考えること。公道をちょっと元気よく走りたいのか、ミーティングでレアパーツを自慢したいのか、ゼロヨン競技やサーキット走行でよい成績を残したいのか。目的も方法も、幾重にもあるのです。


 これを常に考え、思い描ける力。


 それが、己を律するもの、誰からもとやかく言われる筋合いのない、自分だけのレギュレーションなのです。



2009.04.23